エッセイ_ハワイ
ハワイ
ハワイ島は、ハワイ諸島最南にある最大の島であり、4,000メートルを越す山が2峰ある。火山活動が盛んで、生気の波動に満ちた島である。ハワイアンは、自然や土地そして人間に流れるエネルギーやパワーを「マナ」と呼ぶ。「気」と同様の存在である。
ハワイ島西海岸の聖地、プウホヌア・オ・ホナウナウの「プウホヌア」とは、許しの地という意味である。背の高い椰子の林を歩いていくと、白砂の岸辺に、先祖を祭るシュロで葺いた社が立っている。凪いだ浅瀬には、多くの海亀が休んでいる。いるだけで身も心も癒やされる、竜宮城のような聖地である。
近くの丘陵地帯には、画家の小田まゆみさんのアトリエ兼農園であるジンジャーヒル・ファームがあり、アメリカや日本から修行にきた若者が、畑つくりを手伝っている。
オアフ島の南海岸、ココヘッドには、すり鉢状のクレーターがある。クレーターはマグマの噴出する火口であり、死火山になった後でも、エネルギーに満ちている。中心に、10メートル以上もあるシュロの巨木に囲われた、不思議な空間がある。エネルギーがそこだけ渦巻いているような濃い気配を感じ、立っているだけで、マナが充電されて、旅の疲れが抜けていくようだった。
ヨーロッパ人・アメリカ人が侵入して以来、先住民の文化と聖地が失われたハワイだが、ここ20年余り、先住民の伝承や聖地が見直され、復活してきている。古典フラ(カヒコ)の伝承者は創世神話や祖先の物語などを伝えるメレ(チャント)を詠唱する。深い中腰で、膝や太ももを鍛えるフラの基礎の立ち坐りは、ゆっくりとして、気功や太極拳の基本とも似ている。
どんなに文明が発達しても、自然の大いなる力には人智を越えたパワーがある。火山と共存しながら1,000年以上も暮らしてきたハワイは、自然のやさしさと怖さという両面を感じることのできる、パワースポットなのである。
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