エッセイ_ベトナム・カンボジア
ベトナム・カンボジア
ベトナムもカンボジアも、もともとはヒマラヤから流れる山脈とメコン川によって育まれてきた豊かな地域であり、仏教文化が栄えていた。最近まで続いた長い戦争や革命によって荒廃したが、日本など各国の援助を受けながら、本来の豊かな国へと復興してきている。
ベトナム・ハロン湾は霧の中、海の桂林と呼ばれるように何百という奇岩の島々が現れては消え、山水画のような光景が広がる。雨上がりで新緑が鮮やかなハノイでは、ホーチミン廟やベトナム戦争の戦禍の跡地を巡った。
カンボジアは、日本の真夏の暑さだったが、湿度が低いせいか日蔭は涼しく感じた。アンコールワット遺跡は、予想以上に壮大で、気のよい聖地だった。河のように広い堀を手漕ぎの船に乗り、夕日を拝みに行く。鳥のさえずり以外、何の音も聞こえず、オレンジ色の柔らかな太陽がゆっくりと沈んでいった。アンコールトム遺跡は、四方を向いた多くの観音菩薩が彫られていて、優美なクメールの微笑を湛えている。カンボジアのゆったりとして明るい気配は、1990年代後半まで続いていたという内戦が嘘のようだ。
ベトナム、カンボジアの自然と人々から生きる元気をいただいた旅だった。