気を放つ風景 photography

エッセイ_赤城山

kakuman20140628.jpg

赤城山

 赤城山(1823メートル)山頂はハイウェイも通っており、東京から日帰りできるメジャーな行楽地だが、人の多い時間や場を避ければ気の波動を体感できる。
 古来より関東の西北を守る霊山であり、日光男体山のヘビと赤城山のムカデが戦った伝説は、男体山と並ぶ力ある山であることを示している。二重式の休火山で、地蔵岳を中央火口丘として、周りのカルデラに大沼、小沼、湿原の覚満淵が美しい。ブナ、シラカバ、ハンノキ、カエデなど山を覆う自然林の紅葉は見事である。山頂からは、東側に日光男体山、筑波山、西には榛名山、浅間山、北には、谷川岳や北アルプスが望める。南には関東平野が広がり、南西の秩父連山の上には遠く富士山が浮かぶという大パノラマが展望できる。
 赤城山や箱根のような火山を中心にしたカルデラは、地の気や火の気が強すぎて長く住むには適さないだろう。しかし短い時間で心身の浄化や元気を得られる素晴らしい風水の地なのである。
 まず赤城山南麓の赤城神社に参拝した。谷と杉の巨木に囲われ、こんこんと清水が湧く。その清い霊気で心身を浄化すると、山頂に向かった。
 小沼には、竜神となった娘の入水伝説もある。夕暮れの光に紅葉を映して湖面が七色に鈍く輝いていた。その湖面にさざ波が起こり、空に小さい虹がかかった。
 翌朝、東側の展望台に行くと、関東平野を覆う雲海の上に金色の御来光が浮かんでいた。谷の底から一陣の霧が湧き上がり、まるで白い竜のようにうねりながら山を越え、覚満淵へとゆっくりと降りていった。
 小尾瀬と呼ばれる覚満淵に向かうと、あたり一面は濃い霧の世界である。気功を行うと、霧の中に白竜の目だろうか、淡い太陽が二つ浮かんだ。
 霧はしだいに薄くなり、モノクロームの幽玄の世界から、緑と紅葉に染まった極彩色の世界に変っていく。たちまち青空が広がり、天地を貫く橋のような虹が架かった。冥界から現世へ再生したかのように、私の心身は歓喜に満たされた。

→ エッセイ一覧に戻る

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional